□『ドルアーガの塔』編

黒字=2ちゃんねらーの質問
緑字=遠藤氏の回答(文頭のS、A〜Eは遠藤氏による質問の評価点。Pはペナルティ級)
赤字=GIL@D/LAB.管理人のコメント(ないのが大半です)


□ ドルアーガシリーズのストーリーって、ゲームのために作られたっていう感じがしなくてすごく好きです。勇気を身軽さにかえるティアラとか、力にかえる黄金の鎧とかの設定も本当に生きた設定だと思います。
★ バビロニアンキャッスルサーガは、もちろん「バベルの塔」にインスパイアされて作ったものです。
 ある日、同僚の女子社員(和田久美ちゃん、この子が個性的な子なんですよ)と一緒に池袋まである講演会を聞きに行きました(半分仕事)。その会場で渡されたチラシの裏につらつら書いていったイメージを、彼女と共にストーリーの形にまとめたわけです。
 天界と魔界の分化、イシターとドルアーガの戦い、ドルアーガの封印などなどのプレストーリーは、いまだ語られるチャンスがありませんが、DOGのエンディングのうちの1つ(これがどれだったかは忘れてしまいました)までの話の大筋が、その時にできあがったのです。
 勇気を、身軽さに変えるティアラとか、力に変える黄金の鎧とかの設定は、逆にゲームデザインが決定してから、どの設定を使うか決めたものなので、ストーリーからゲームデザインに反映されたわけではありません。それはストーリーテラーとしての表現のテクニックですね。まぁ、どちらが先かという問題だけで、生きた設定であることに変わりないのですが…、ちょっと夢を壊しちゃったかな。ゴメン。
◇ 和田久美氏は、のちに『X-DAY』を企画された方ですね。遠藤氏が個性的というのも頷ける気がします。

□ ドルアーガが3部作という設定はいつからあったのですか?
★ ゼビウスを作り終えて、「イシターの凱旋」を作っている最中に、前述の講演会があったんじゃなかったかな。最初から3部作で行くって決めてストーリーを作ってました。それが4つになったのは、DOGを作れる状況になかなかならなかったのと、アクションの試作から面白いゲームに仕上がった後のQOKに、バビロニアンキャッスルのエピソードの1つを割り振ったからです。

□ どうして ドルアーガの塔が60階と決まったのですか?
★C 当時、池袋のサンシャインが一番高かったからじゃなかったかな?

□ 郷留電
★S 「これのどこがSなんだぁ!」などと憤慨なさらないように…。ゴールデンと聴いて懺悔しなければならないことを思い出したんです。
 TODのアトラクトで、英語の文章が出てきます。その中に「weared gold armor」という一文があるのですが、これがヘボヘボ。「wear」は不規則変化動詞なので(wore wornだったかな)、「wore」だっただけならまだしも、「gold armor」のgoldは決してarmorを修飾していないので別の意味になってしまうのです。というわけで「golden armor」が正解だったのですな。
 これ以来、どんな簡単な外国語でも(漢字モナー)、ちゃんと確かめないと怖くて使えなかったりします。
◇ アトラクト文はここを参照のこと。
 ちなみにファミコン版では、上記の誤りが訂正されて「WORE GOLDEN ARMOR」となっています。ただし、一部の攻略本では「WORE GOLD ARMOR」と「WEARED」の部分しか直っておりません。

□ ナムコ内には英語が堪能な方は当時いなかったのかも?
★A ナムコ内には、海外事業部とか、英語に堪能な方はいっぱいいたのですが、概して開発者は英語に弱いやつばかりです。最近、日本マイクロソフトがX-BOXの事業拡大のために求人を行っていましたが、募集要項の中に「英語力」という項目があるという事実だけで応募しようと思った開発者も萎え萎えでしょうね(藁

□ ドルアーガは一般人おいてけぼりの難易度でしたが、どうやってそんな企画を通したの
★ ゼビウスが終わって、ボクの次の作業は次代のCPUとなりそうなモトローラの6809を勉強することでした。スーパーパックマン以降このCPUが使われることになるのですが、Z80でプログラミングを覚えた身としては、6809に対応できないと仕事にならなかったのです。
 そこでスーパーパックマンの基板を使ってプログラムを書き始めました。次の企画が決まるまで特にやることもなかったので、自分でキャラクターを作ってオリジナルのゲームを作ったのです。「the Return of ISHTAR」イシターの凱旋と名付けられたそのゲームは、カイをコントロールして呪文や弓矢をでモンスターを倒して宝を取っていく、アクションRPGでした。
 「遠藤君、このゲームいいじゃない。ちゃんと作ろうよ。」と課長に言われて、ボクは困惑。RPGの概念はまだ日本で知っている人など、ほとんどいなかったからです。
 「実は、このゲームはシリーズの第2弾のストーリーなんです。もし、やるなら最初から作りたいんですが」
 「わかった。企画を上げてくれ」
 というわけで、「the Tower of ANU」(ドルアーガの塔の試作名)は始まりました。

 ボクはプランニングのセクションに所属していたわけではないので、このソフトを世に出すには次のコンセプトをメインにすえました。
  • 稼働率の下がってきた『マッピー』のROM交換でコストを下げる
  • 正等な迷路モノとして表向きは仕上げる
  • RPG、アドベンチャーの要素を取り入れる
  • 1コインで数時間のプレイを避けるため、強制的なゲームの終わりを作る
 つまり、インカムの悪くなったマッピー基板で軽く一稼ぎしようということで、2000枚のROM交換程度に売れればよいので実験作が可能な状況だったのです。人員的にも余裕があったのか、プログラマを1人つけてくれたのが幸い、経営的に見れば大切なことなのですが、制作はハイスピードで進み半年ほどで完成にこぎつけたのです。
 そんなわけで、難易度どうこうは企画の通過に影響しなかったのですね、なにしろROM交換のC級作品だったわけですから。これで会社がどうこうするというものではないので、逆にあんなエポックメイキングが生まれたと考えると、やっぱりナムコの懐の深さを感じずにはいられません。
 誤算だったのは、自社ロケだけで使う予定だったはずなのに、ヘタにインカムが高くなってしまったので、あろうことか基盤を再生産したことでしょうか?
 「あのゲームは、そこまで売れるゲームじゃない!」と呪ったのですが、時既に遅く、おかげで日本中から、「難し過ぎる」「サギ」などの苦情が殺到。逆に、そこここで攻略本が作られ、予期せぬゲームミニコミ誌発展の原動力となったのは皆さんもご存知の通りです。
◇ 言われてみれば、縦画面の横スクロールだの画面構成だのに『マッピー』と共通項が多いですね。
 なお、BCS攻略本巻末掲載座談会によると、当初イシターの凱旋は「QUEST」という名前で企画書が書かれていたようです。

□ ドルアーガはRPGでなくパズルだと思っています。
★S そういう視点もありでしょうね。本来、迷路突破ゲームとして企画通してますんで。

□ 「初心者逝ってよし!」と宣告されてるような取っ付きの悪さは、製作者としてどのような意図で採用されたのでしょうか?
★C TODはあくまで「アクションゲーム」です、表向きは。そう考えると、スタートミュージックが終わった瞬間にはすでに逝かされていた、売り上げ重視の幾多のゲームに比べ、決してプレイして高いゲームではないはずなのですが。

□ 何の説明も無しにクリアーしろって方が無理なゲームだと思うんですが、そこらへんで不安はなかったんでしょうか?
★B 全くありませんでした。
 商品としての開発目的には沿ってたし、作品としても3日間のロケテストでゲームの本質を見抜いた人が続出してましたから。

□ ドルアーガの塔ですけど、ゼビウスフィーバを発端にした隠しキャラテクブームに対する皮肉と悪意まじりの、RPGをアーケードで再現できない葛藤と妥協の末の確信犯的糞げーだと、僕はずっとずっと思いつづけてきたんだけど。
 実際、遠藤氏のあれを作ったときの心境ってどーだったんですか。
★ TODの製作背景については、既出を参考にしてください。本人はクソゲーを作ってる意識がなかったので、確信犯ではないですね。

□ こんなモンに金を入れる奴は基地害だと思いました。
★S 作ったヤツも基地害だと思うべきでしたね(藁

□ このゲーム、ボタン一つですべての行動が可能というのは、かなり芸術的な仕様だと思うのですが。タテを横に構えて防御するのがかっちょええ。
★ 同時に成立しない2つのことを「二律背反」と言います。
 ドルアーガの塔の操作性を考えるにあたり、この二律背反をまず念頭に置きました。つまり、ボタンを押すことによって、ある動作が可能になるが、それによって別の事象がキャンセルされてしまう構造ですね。
 ボタンを押して攻撃、ボタンを離して防御。ただの二律背反ならこれだけなのですが、剣を構えたときに盾を左に持つことに注目し、剣を出しながらも、攻撃方向に対して右を向けば盾を使えるようにしました。これによって、「ワザ」の介入する余地ができ、アクションゲームとしての深みが出たと思っています。「オフセットブロック」と呼んでたかな。
◇ いやホント、この仕様のおかげで何度も命拾いしました。

□ 自分は攻略本等で宝箱の出し方を憶えて一度クリアしたが、アクション自体が楽しくて何回もやった。シンプルな操作にヤミツキ。
★ TODは1ボタンによる「攻撃」と「防御」の二律背反をテーマにしていたんだね。だからこそ、呪文を盾で受けた時とかにある種のカタルシスがあるわけで、剣を出した状態でも横を向くと盾が使えるギミックなどは、その部分の面白さを助長するために加えたです。
 そのうち、脊髄反射で向き変えられるようになっていく自分が怖いという説もあるが(笑)

□ 1ボタンで全て操作できるという芸術的な仕様もお気に入りでした。
★A TODは、何よりまず、アクションゲームでなければいけなかったわけです。そして、多少インカムが悪くても、コストが安かったのでゲーム時間を無理に短縮しなくてもよかったのです。だからこそ実現した操作系でしょうね。遠藤は今でも、「1ボタン」のゲームにこだわってたりします。

□ 操作性に関して気を使った点などがありましたら
★D 既出のような気もしますが、
  • 1ボタンで防御と攻撃を使い分ける
  • 切り替えにはどちらもできないリスクの高い時間を伴う
  • 攻撃形態であっても、腕によっては防御が可能
 といったあたりです。

□ シールドの当たり判定ってけっこう広い(4dot)んで、呪文が左右全く同じに飛んできても、左を受けた瞬間に振り向いて右を受けることも可能。
 ちなみに33Fの青いシールドを取ることで、この当たり判定はシールドの先2倍(8dot)に広がってさらに同時受けのタイミングが緩くなる。
★A これは、最初から想定されて組まれたテクニックです。原理的にできると思い、実際にやってみたのですが、最初は難しかったので、当たり判定を広げたような気もします。
 とにかく、これ決まると気持ちよかったので…。
◇ これもまた多くの場面で命拾いしたシステムでした……。

□ ハイパーアーマーの正式な効果は、呪文当たり判定に「HPが2以上の時にはHPを1にした上で、シールドで受けたことにしてリターン」を追加する。したがって、呪文をアーマーで受けた後、水色か橙の薬を取ると効果が復活する。
★S ふーん、そうだったんだ。φ(.. )メモメモ
 このクラスのことになると、完全に忘れてます。内藤さんはボクより忘れっぽい人なので、もはや制作者としての価値なしですね。逝くしかありません。

□ スタート時にギルが剣を少しだけ出しているのは、配置でギルと敵が重なったとき、敵を自動的に倒すため・・・という話は本当?
★S これはTODでのことですよね。
 まったく覚えがないんですが、ありそうな話です。その辺の処理は、プログラマさんが適当にやってくれたりしてるのかも知れません。
◇ 「新明解ナム語辞典」では「いきなり宝箱」という項目まで作って推察されていましたね。

□ TOD、正面、横、背後において戦闘力の明確な違いは?また、どのくらいの体力消耗の差があるのでしょうか?
★A 背後から刺されると痛かったような気もするなぁ。記憶が定かではないので、ドルアーガスレにかけてみてください。

□ 宝の出し方がすべてわかってからのスタートでしたけど。邪道?
★C 出し方が全てわかっていれば、純粋にアクションゲームとして楽しめると思います。やはりTODはアクションゲームなんですよ。

□ あそこまで立体的に見えたゲームには当時としては度肝を抜かれた
★C TODについて、こんなことを言われたのは初めてなので、ちょっと度肝を抜かれたって感じです。

□ アイテムを取る度に変わるドットパターンの巧さは芸術的でした。
★A マッピーの基板は、なんと16色中16色を選んで使えるという、なんとも奇妙なハードでした。本家マッピーでは、32本(さだかでない)もあるパレットをほとんど使っていなかったりして。当たり前だと思います。だって1つパレットがあれば、使える16色全部表示できるのですから。
 ドルアーガはそこを逆手に取りました。ギルのキャラクターは部分部分で15に分けられ、その部分を何色にするかで、キャラクター自体が違って見えるように作ったのです。各部の色が変わっていくギルも、同じキャラクターのパレット変更。なんと角が生えるのすら、今まで透明に振ってあった色を青にして出してます。
 そればかりか、ミラーナイトやハイパーナイトもギルと同じキャラの色違い、同じく、ブルー、ブラック、レッドは目の光り方も含めて色違いだったりします。さらにナイト系は、手足の分割などのテクニックも使われています。
 ちなみにメイジ系のキャラが手に持っているもの、ヒゲなどの違いもパレット書き換えの色違いですね。
 もちろん、画面に登場する全てのキャラクターは遠藤がデザインしてドットを打ったものですから、平和な時代と言えましょう。
◇ つまりデフォルト状態のギルの頭には、透明なツノが……。

□ 宝箱のアンロックが「赤い薬」なのには何か意味があった?
★C ないです。残った色が赤だったからみたいな感じです。
 潜在的に警戒色だというのはあったかも知れませんが。

□ (特に質問はナシで、遠藤氏自身が『「だったら、遠藤が何か書けよ!」という声も聞こえそうなので、1つ。』と前置きして)
★ ドルアーガの塔に登場するナイトの中で、ギルの次に作ったのはブラック/ブルーナイトでした。先にパレット書き換えだけで、目の部分の印象を変えられないかのテストを行い、成功したのであのようなキャラが1つのキャラクターの色変えだけで実現しています。
 もちろん、モデルになっているのは「ジオング」と、映画「ブラックホール」に登場している「マクシミリアン」。この話題は、一生を通じて初めてだと思うのですが、いかが?

□ 画面外から飛んでくるダークグリーンスライムの呪文ってギルの動きに関するアルゴリズムか何かで狙ってきてるの?
★C スライムはどいつもこいつも、自分勝手に動いているはずです。

□ 遠藤さん、ドルアーガーの塔のメイジ達の唱えてくる魔法はどんな魔法ですか?呪殺ですか?破壊ですか?それとも体力吸収ですか?それから、彼らはプログラム上、ギルを狙ってるんでしょうか?確かに狙ってる感はありますが、あさっての方向に打つ奴もいてますし。
★ 魔法の種類は考えたことないですね。というか、呪殺も体力吸収も、当時が概念が一般的ではなかったので。
 あさっての方向に打つのは、出現位置がランダムで、射つ方向が壁だったときの逃げじゃなかったかな。違ってたらゴメン。

□ マジシャン系で一人だけ杖を持ってる手が逆なキャラがいますが、何かワケあるのでしょうか?
★B マジシャン系は1種類のキャラクターの色違いなので、バリエーションが多いように見せるための姑息な手段ですね。リカントとリカントマムルなどと同様です(どっからの引用だい)。

□ ゴーストのカラーリングに関してですが、
  • 現メイジゴースト→ウィザードゴースト
  • 現ドルイドゴースト→メイジゴースト
  • 現ウィザードゴースト→ドルイドゴースト
 だとしっくりくるのになあと思っておりました。これは意図的にそうなされたのでしょうか?
★A 多分、間違ったんだと思います。
 TODは自分でも遊びたかったので、作ったそばから忘れるようにしてました。設定の間違いってバグじゃないから、検査課のチェックを通ってしまうんですよね。ってわけで、十数年越しで懺悔!
 ごめんなさい。

□ 何故、ソーサラーのゴーストは居ないんでしょう。 レッドスペルだけを吐くスライムも同様。
★B パレットの都合で、見た目のはっきりしないものは却下したからです。他にも細かな理由があるのですが、>>193に書いてあるあたりのことも入っているかも。
◇ 後日、別の機会に遠藤さんから別の答えが出ていますが、それは「設定・そのほか編」のほうに掲載しました。
 ちなみに>>193は下記のとおり。

 想像だけど
  1. 28面以降では無意味だから
  2. 大量の炎が画面に残ると処理が重くなるから
  3. 交差点や壁で炎になるのでグリーンペンダントを持ってない時に連射されると通れなくなる可能性があるから(剣で消せるけど)
 どう?

□ TODのウィスプの色とアルゴリズムの組み合わせが、マッピー、ニャームコ(マイクロマウス)と同じだった気がするのですが、これって偶然ですか?
★S これは良いところに気付きましたね。掛け値なしの「S」クラスです。
 迷路を簡単に突破する方法に、右手法と左手法があるのは周知のことと思います。例えば赤と青のキャラに対して、プログラマがどういう論理で右手か左手かを決定するかというと、プログラムのラベルから判断しやすい方へ流れるんですね。
 RedWispとかBlueWispとかの名前を変数名やラベルに使うワケですが、ここに注目!

B「L」ue Wisp   「R」ed Wisp

 これなら後からどっちだったか忘れないわけです。たまに左右自体が怪しいプログラマもいますけどね(藁
◇ ちなみに「右手法」とは、「右手を壁に付けて離さないようにすると仮定して前進する方法」。つまり右側の壁沿いに進んでいくわけです。「左手法」はその逆。

□ マップが違うのはある程度あきらめてたけど。
★S これは画期的なことかも知れないんだけれど、TODは1フロアにつきマップのデータを1バイトしか持っていません。つまり、プログラム的にはマップという概念がないんですね。ちょっと難しいのですが、説明します。
 TODの迷路は、まず全ての柱を想定します。そして、最初の1本を選び、そこから面数を根とした乱数によって、0〜3の数を導き出し、それに相当する方向(ex.0:上、1:右、2:下、3:左)に壁を作ります。それが外壁か別の壁に接触しなければ、新しい根より0〜2の乱数をもとめ、そちら方向(ex.0:進行方向左、1:まっすぐ、2:進行方向右)へ壁を伸ばします。これを外壁か別の壁に接触するまで続けます。
 もし外壁か別の壁に接触した場合、最初に選んだ柱から順番に、まだ壁の通過していない柱を選んで同じ処理を繰り返します。壁の通過していない柱がなくなると迷路の完成、結果として、迷路のある地点Aから別の地点Bまで1通りしかルートのない、狭義の意味での迷路ができるのです。
 このフロアを元にした乱数の根を255にすると、なぜか整然とした迷路になってしまったので、これを特別に最上階60階の迷路用の根として、残りはフロア数がそのまま迷路のデータとなっているのです。
 あのフロア全てをデータで持つと大変なのですが、このような方式で作成しているため、全く同じ方法を取ったとしても、迷路のサイズが異なれば構造が違ってしまうわけです。遠藤としては、最上階以外のフロアの形状に関しては、まったく関心がなかったので、移植が同じ方法で迷路を生成しているのは、かえって新鮮で良いのでは?と思いました。
◇ これはおもしろい発想ですよね。CD-ROM・DVD-ROM全盛の今からは想像もつかないようなデータ圧縮の苦労が、当時にはあったわけです。

□ ちょいと気になったのですが、そのアルゴリズムでは「ドルアーガ」の迷路を生成することは出来ないのでは?
具体的に説明すると、
  1.迷路の中央あたりの柱から上方に壁が伸びる。
    ↓
  2.上の外壁に触れる。
    ↓
  3.最初の柱から下方に壁が伸びる。
    ↓
  4.下の外壁に触れる。
 とステップが進んだ場合、左右に分断された迷路になってしまいます。
また、このアルゴリズムでは生成される壁はすべて連結している必要があるため、60階のような迷路は絶対に生成されません。
★S TODの迷路生成で忘れていた条件判断がありました。
 柱から壁を伸ばしたときに、現在生成中の壁、つまり自分自身に当たってしまう場合は、別のルートを選ぶ。というのがありました。「コの字」型のところに突っ込んだりした場合は、さらに1つ前に柱に戻ってやり直したような気がします。

□ 右手法、左手法で全体を巡回できるように
★B まさに、これが可能なようにです。迷路に弱い人って、この方法に頼るしかないから。
◇ さらにこのような理由もあったのでした。右手法・左手法については3つばかし上の問答を参照のこと。

□ 同様な壁生成のアルゴリズムは他にもある
★A 面のデータを持たずに面に固有の迷路が作れる方法の中で、一番最初に辿りついたからですね。
 乱数発生については、資料を探して、またレスします。

□ BCS作品開発当時に付けてたヘンな歌詞キボン
★S そういえば、あったなぁ。
 TODを作っていたころ、「キンタら」というプログラマのニックネームを多用してました。

クレジット:キンタららら〜
3連続クレジット:キンタららキンタららキンタららら〜
BGM:ど〜どっどドルアーガどぉ〜、どどどどっドォ〜ルアーガどぉ〜
60面クリア:キンタらら〜わたしゃ埼玉県民だぁ〜、キンタらら〜虫は出るけどプログラマ〜
ドルアーガBGMの一部:ドルッアーガ、ドルッアーガ、ドルッアーガ、くるくるくるくる
◇ 一番下のドルアーガBGMの歌詞は、レコード「THE RETURN OF VIDEO GAME MUSIC」内の解説書で、小沢純子さんが書いてらっしゃいました。

□ ナムコは社長がテストプレイをするそうでしたが、社長は理解して遊んでくれたのでしょうか?
★ はじめて開発中のドルアーガの塔を持っていったときのことを覚えています。
 「いいから、まずはオレにやらせろよ」というわけで、ちゃんとスライムやっつけて宝箱取ってました。
 「このゲームは簡単でいいな」と近くの社員にやらせては、「なんだ、オレのがうまいな」と楽しそうだったんです。
 もちろん、クリアしてはいませんが(藁
◇ 宝箱の出し方ばかりが注目されがちなゲームですが、じつはアクションゲームとしても良質なのは言わずもがな。敵のコンビネーションに対応すべく戦略を考えるのが楽しいゲームでもありました。

□ TODのポスター見て燃えた
★S TODのポスターは、最初コミック風にやりたいと言ったのですが、社長から「マンガはダメ」というお達しがあり、広告関係のスタッフが燃えてあのようなジオラマで、アメコミみたいなテーストのポスターを作ってくれたのです。ボクもすごく気に入っていて、今でもオフィスにパネルとしておいてあります。
◇ このポスターのメイキング写真が、Windows版『ナムコヒストリーVol.2』にスライドショーとして入っております。

□ 今気付いたけど、ポスター作った「立体物マスターの穴田君」って、源平のイラスト描いてた穴田悟さんのことなのかな?
★ あたり!
◇ 穴田さんは、ほかにも「龍馬くん」「がんこ職人」のデザインなども手がけた方です。

□ デモ画面が一切無いと記憶しておりますが、アレも「デモでプレイした気になるガキ」対策なのでしょうか?
★ デモを真剣に作るほどの扱いではなかったこともありますが、「面倒くさいから無しでもいい?」で通ってしまったのです。
◇ 今もそうなんでしょうけど、とかく金のないお子さまはでも画面でレバーやボタンをガチャガチャやって、本当にプレーしたい我々がどかそうとするとなぜか親に我々が冷たい目で見られてしまうものです(笑)。でも、このゲームに限っては他人のプレイを見る時間が圧倒的に長いので、アトラクトデモはたしかになくて正解でしたね。

□ 空気読まずに★に質問。
『ドルアーガの塔』のアトラクト時のハイスコア一覧表示で、1位〜4位までのデフォルトネーム(「E.END」や「NIGHT」)は誰をさしてるかわかるんだけど、5位の「SHIGE」だけ誰のことかわからないんだ…。
差し支えなければ教えてくれると嬉しい。
★ ハードウェアの設計者
◇ 直後に他の方から、このような書き込みもありました。
□ サトウシゲルさんかな? 漢字がわからない。
イシターのスタッフロールで CUSTOM I.C. DESIGN をやった人として出てくるな。

□ はじめてプレイした時に「ナムコはこんなトロいゲーム出して狂ったか?」って子供心に思ったのは私だけ?(笑)
★A 今までこのスレを読んでこられたのなら、ナムコがいかに柔軟な発想で行動しているかがわかったと思います。「リッジがギャルゲーになっちまったぜ」などと悲観せずに、「リッジにギャルまで付いてきたぜ」とムービーを録画して楽しむくらいのスタンスを持ちましょう。
◇ この回答を読んで夜中モニターの前で爆笑してしまいました。
 ま、たしかにジェットブーツ取得前のギルの足の遅さは、マッピーにも余裕で負けていますが。

□ 外壁にカッパーマトックを使うとアイテムが無くなりますが、何故そのような設定にされたのですか?
★B 「外壁は壊れない」というのが原則なので、逆にマトックを壊す設定にしました。ほんの軽い気持ちだったのですが、地獄を見られた方々からの苦情殺到でした。ごめん、入れなくても良かったフィーチャーですね。
◇ いや、個人的にはそっちよりもシルバーマトックのランダムで壊れっぷりのほうが……

□ マトックですら壊せない外周の壁壊しはやはりバグですか?
★C バグです。

□ 25面にアイテム無いのは意地悪したんですか?
★B TODの開発コードがV-25だったので、脈絡無く25面の宝は無しにしました。他意はありません。
◇ じつは某サイトの解析によると、「ジェットブーツ入りの宝箱が存在するが、出現方法がない」とのことです。

□ 宝物として一応ジェットブーツが設定されてはいるが、出現コードが書かれていないという記事を読んだことがある。真相は如何に?
★ ギルの足の速さはいろいろ試してみたので、「ロケットブーツ」も作ったような気がします。残念ながら、すでに忘却の彼方…スマリ。
◇ 真相は上の補足に書いたとおりです。

□ 本来フロア25にアイテムがあり、それを取ることでフロア29の偽の扉がキャンセルされる、という設定があったのでは
★C 面白い考え方ですね。
 既出ですが、そのような深謀遠慮はありませんでした。
◇ 29階のニセ扉は、28階で「ブック・オブ・ゲートディテクト」を取らなかった場合に、カギを持ってるのに扉に入れない…と惑わせるためのトラップでしょうね。

□ 超早いジェットブーツというのがプログラムに残ってるという話ですが、本当でしょうか。
★ テストをしたことはあるので、残っている可能性はあるでしょうが、ROMには入ってないと思います。
◇ これは当時から有名なウワサでしたね。

□ 体力の値がゲーム上全く意味がないフロアで、ポーションが宝に設定されている場合があります。これは一種のシャレなのでしょうか?
★C 記憶の外ですね。取らなくてもいいアイテムをわざと置くこともあったので、その一種なのか、シャレなのか、ただの間違いか、手抜きか、事実は忘却の彼方です。

□ 「ギルが強くなる」「ギルが弱くなる」などのすげーファジーな説明しかなかった
★B 経験値はおろか、レベル、パラメータという言葉を誰も知らなかった時代の話なので、ルールも説明もエッセンスだけで勝負せざるを得なかったんです。おかげで攻略本が売れたようですが、もちろんボクの関知するところではありません。
◇ 日本で「HP」なんて言葉がメジャーになったのはドラクエ以降ですしね。

□ ローパーとの戦闘で剣を出していなければバイタリティがゼロになる事は無いのは誰のアイデア?
★E ボクです。
◇ すでにナイトと交戦してバイタリティが減っている状態のとき、以後ナイトと闘えないリスクを背負ってローパーをやり過ごすか、それともいちかばちかでローパーを倒そうと試みるか……この葛藤にもシビレた記憶があります。

□ ドラゴンスレイヤー以上の剣がないとドラゴン系にダメージを与えられないのは分かるのですが、なぜローパーもダメージを与えられないのですか? それとも私が下手なのでローパーに勝てないのでしょうか?
★A ローパーに対するいい加減な取り組みは、今では反省しなければならない部分です。本来ローパーというモンスターは、移動することがないのですが、ドット絵のアニメーションが思った通りにできたので、バリバリ動くキャラとして設定してしまいました。
 そんなわけで、ローパーに関しての設定をイメージだけでろくに考えずに決めています。ゲーム的なバリエーションを広げるために、そのような設定にしたんでしょうね。すでに忘却の淵にさしかかっています。

□ パールの出現方法として1Pを押すというものがありますが、あのアイデアはどうやって思いつかれたのですか?
★B 60も考えなければならないと、ネタが無くなって使えるものは何でも使う姿勢になってくるんですね。というわけで、ほとんど苦し紛れです。
 こんなネタが以外に発見されているのは、ナムコの筺体の1Pスタートが、丁度右膝のあたる位置にあったためですが、これも意図してそうなっているのではありません。
◇ 「『出し方わかんねーよ』と筐体をブッ叩いたら出た」という都市伝説もありましたね(笑)。

□ フロア30のあの、特定の地点およびそこからX,Y軸を離れた地点を交互に3回という出し方は、何か深い意味でもあるのでしょうか?
★C ないと思います。単なるその場の思いつきで、そういう風に作ったことすら瞬時に忘れてしまい、ゲーセンで自分が困っていました。

□ 30階と53階のトマトジュース(藁 と、54階の青指輪の出現方法ですが、あの場所を歩く理由って何かあるのかな?
★S なんもないです。単なる思い付き、超鬱にしてごめん。

□ ドルイド、メイジ、ソーサラー、ウィザードの順に倒せって、、無理だよヽ(`Д´)ノウワァァン
★ それは「アルファベット順」だったな(笑)
◇ 「DRUID」「MAGE」「SORCERER」「WIZARD」、ですね。

□ 出回って間もない頃、何も知らないプレイヤーの前でサラッとプレイした事ありますか?
★ どうみても質問者は身内のような気がするのですが、ドルアーガの塔が完成した時に、すでにボクは宝の出し方などすっかり忘れてしまっていました。なので、土日に新宿に出かけて、百円積んでゲーム仲間とやってました。
 そんな中で思い出したのは、「717」ですね。プログラマ内藤さんの当時の家の電話番号の局番でした。これは他の人ではまず分からなかったでしょう。確か、ロクでもないアイテムだったと思いますが…。
◇ 22階の「レバーを右7回→左1回→右7回の順に入力する」という出し方ですね。ちなみに中身はポーション・オブ・エナジードレインです(笑)。

□ ノーヒントで出すにはどうかと思う宝箱の出現条件。苦し紛れなものもあったんでしょうか?
★ 60(正確にはちょっと少ない)もありますからね、指摘の通り苦し紛れなものも多々あります。取捨選択できるほど思いつかないので、フラッシュアイディアを吟味しないで採用してしまったんですね。おかげで「サギ」呼ばわりされました。ちと反省です。

□ つーか、あんな訳判らん方法で宝箱が出るなんて意地悪すぎねーか。ゲームの進行と関係ない、横道的なアイテムならまだしもよ。
★ これは謝る。よもや、こんなにヒットするとは思わなかったんで、インカム維持のために、だいぶ難しくしました。

□ 57面のサキュバスと接触すると数秒後に死にますが、死ぬ前に扉に入ると偽ブルークリスタルロッドを取らされます。そうすると58面は宝がでません。これは装備系にバランスのトラップを仕掛けた様に、クリスタルロッドに仕掛けた罠ですか?
★E そうです。

□ サッカバスって美味しい位置にいる割には影薄いよね。イシターとグラフィックが同じだからかなぁ。
★ PCE-TOD、DOGではサッカバスの扱いが変わっています。

□ ドルアーガを倒すための必須アイテムとしてルビーメイスがありますが、何故青アイテムではなく赤アイテムにしたんですか?
★B ルビーメイスはドルアーガの魔力の源となるモノだからです(これは原典より引用)。つまり、相手の魔力の源を奪ってこそ、倒すことができるというのが心です。

□ ドルアーガ42面のサファイアメイスの意味とは?
★C ごめん、忘却の彼方。

□ ドルアーガ戦即死装備からジェットブーツを外した理由は何故ですか?ハイパーガントレットはジェットブーツとバランスで差別したのか?
★E ジェットブーツを外したのではなく、ジェットブーツは入れる必要がなかっただけです。作り手と受け手の論理の違いですね。
◇ 一応、青アイテムなんですけどね。たしかに必要となるのだったらミラーナイトの足が遅くなる仕様もなくてもいいだろうし(笑)。なお、ジェットブーツを取らなくても、59階のドルアーガが化けたハイパーナイトは足が速いようです。

□ 非最強装備ではドルアーガに触れることすら出来ない。プログラム上はどうなってるのでしょう?
★A ドルアーガは全てにおいて例外処理されていた気がします。非最強装備ではダメでしょう。

□ ZAPの曲(?)の最後の一音は、あれ着地ですか?
★S その通りです。
◇ そういう噂だったけど、まさか本当だとは思いませんでした。ちゃんと楽譜にも最後の音が記載されていたぐらいですから、何かしらの意味があるのは間違いなかったんですけどね。

□ 没になった宝や装備で、惜しかったモノなどお聞かせください
★ 世界観がしっかりしてたので、没の覚えがありません。ドルアーガの塔は、ほぼ半年というハイペースで完成したのです。
◇ さすがです。

□ 鉄板やダンボールで覆いをかけとかして、プレイヤーに配慮してくれてたんだよねぇ。
★S そういう意味の場合もあるが、TODの場合は、攻略を人に知られたくないためだと思う。バーチャファイターがデビューした頃、新宿のゲーセンでは、みんなコントローラーの手の上に上着をかけて、自分が見つけたコマンドやコンボを盗まれないようにしていたのと同様。

□ こっちが53面かそこらにいる時に、「東京(多分、高田馬場)でクリアが出た」ってTel.が入ったのを覚えてる。
★ ドルアーガの塔を最初にクリアしたのは、古田秀人君という早稲田の学生さんでした。彼はロケテストの時にフラッと現れて以来ドルアーガにはまり、後の「イシターの復活」で作り手にまわってモンスター配置を担当しました。「FUL」というハイスコアネームには、聞き覚えのある方も多いと思います。
◇ BCS攻略本巻末掲載の座談会によると、第一報が「あのー、ウシみたいなのが出てきたんですけど、これでいいんでしょうか」だったそうです(笑)。

□ アーケードは千葉大前のゲーセンで念願の初クリアでした。
★D 西千葉方向ではなくみどり台の方に、ボクが在学中はゲーセンがありました。遠藤は千葉大学工学部卒なのです。

□ でも下位が不細工で萎え。
★ ごめんね、その罪滅ぼしが、カイの冒険のゲームオーバー画面のカイ。こっちは全力でドット打ったから、とてもファミコンとは思えん。自分でも一番のお気に入りの出来です。

□ カイの顔ってでかいよね〜。
★D 既出だけど、新たな気持ちで…ごめん。

□ 仮に今ドットを打ってもカイ(TOD)の姿はアレが限界でしょうか。
★ まさか…(藁 昔は消防で「萌え」の意味が判らんかったからだよ

□ ドルアーガの床は何故レンガなのか?石積みの塔なのに、レンガを使用していると言うことはコンクリも使用していると言うこと?それとも、ただ敷き詰めているだけ?
★ 迷路の色に関しては、最初のアーケード基板が16色だったため、登場するキャラクターが映える渋めの色が、茶色と灰色しかなかったんだね。以降それを踏襲している感じだけど、壁床の関係などは逆転している部分もあったりする。
◇ 『カイの冒険』は横視点のため、床が石色、壁がレンガ色でしたね。

□ ゲームそのものより音楽が好きだったなぁ。
★ ドルアーガの塔で、最初に完成したのが弦楽のアレンジバージョンがレコードに収録されている曲です。入社した小沢純子がゲームを特定せずに作った曲なのですが、企画チームからは「これはゲームには使えない」と言われてました。
 遠藤は、その曲が大のお気に入りだったので、「今に、その曲に合うゲームを作ってやるよ、そのときのために取っておけ!」と励まし、曲に見合ったゲームを作ったのです。もちろん今でも着メロの1つとして、自分でアレンジして打ち込んで使ってます。
◇ レコードは「SUPER XEVIOUS」ですね。くわしくはここを。

□ クリア時の曲はネームエントリーには使わないで欲しかったな。あの曲はクリアしないと聴けないようにしてもいいくらいの名曲。
★S ボクも、この小沢純子のデビュー作が、最も気に入っているゲーム音楽の1つです。だからこそ、多くの方に聴いて欲しくてネームエントリーに使いました。上に引用してある文章の気持ちも分かるのですが、プロのゲーム作家ならば、やってはいけないことの要素が含まれているので、ちょっとこれを読んでいる若い同業者へのメッセージを書きます。

 ゲーム作りはマスターベーションではありません。
 自分が最高のアイディアだと思った部分は、ゲームの最初に持ってきましょう。そうすれば、プレイした人全てにそれを体感してもらえます。概して最高のアイディアを最後に仕込みたくなるものですが、アマチュアならまだしも、お金を頂いているプロなら、ソフトの一番良いところを折角買ったプレイヤーが知ることなく終わらせてしまう愚を犯してほしくないです。

 そして、
 「これよぉ、最初はいいんだけど、最初だけだなぁ」と言われないように、それに匹敵するアイディアを最後まで盛り込むことです。もし盛り込みきれないようなら、ゲームのボリュームを変更することを恐れてはいけません。プレイヤーにとっても時間は貴重なのですから。

 以上、数々の失敗を犯している遠藤が、自分の事は棚に上げてのメッセージでした。
◇ 昔、『R・TYPE』が大ヒットした理由に、当時斬新なアイディアだった“巨大戦艦”を、初心者の目標となる3面に配置した点がある、と評価した人がいましたね。それを思い出しました。

□ PS版の裏エンディング曲、作曲は小沢さんなんでしょうか。
★ 知りません、あしからず。
◇ PS版の裏ドルアーガのスタッフロールに、旧スタッフの中で小沢純子さんだけ名前があることから、恐らく小沢さんの書き下ろしではないかと予想されています(攻略本にも「裏エンディング曲は小沢さん作曲」との記載があるようです)。

□ ドルアーガのエンディングって、大したモンじゃない
★C 1時間くらいで、ほいほいクリアされるようになるとは、露ほども思っていなかったからなんですね。ごめんなさい。
◇ ちなみに1画面にメッセージと開発スタッフの名前が出るというモノです。FC版のようにスクロールするなどの演出はありません。

□ カンスト狙ってた人達はみなZAPを利用したでしょう。
★D あのゲーム、点数の意味ないです。「ゲームは得点を競うモノだ!」などと豪語する偉いさん(誰だったか忘れた、社長じゃないよ)を納得させるために、コンティニューを使うと意味がほとんどなくなるような点数システムにしたような気がします。

□ コンティニューをして面クリアすると点がどばっと入りますが、あれはなんなのでしょう?
★A ボーナスポイントです。
 逆説的に、このゲームでは点数より大事なものがあるという主張ですね。

□ コンティニューしたら減点とかハイスコアとして認めないとかして欲しかったよ。1コインでクリアしても馬鹿見た気分になった
★S 1コインでクリアするような人が出現するとは、想定していませんでした。そういうプレイヤーの努力を反映するフィーチャーを入れておかなくてごめんなさい。なにせ、2000枚のデッドストックにインカムを叩き出させるのが目標だったもので、完全にうれしい誤算です。
 1コインでクリアできることが前提ならば、ハイスコアランキングの上位に1コインクリアの総タイムを競うようなボードを用意できたと思います。ゼビウスを2週間で1000万点出された時と同様、スーパープレイヤーの腕を読み切れなかったボクの責任ですね。
 本当は得点を廃止したかったのですが、会社の方針としてそれは許されず、反発して入れたフィーチャーがプレイヤーを苦しめるとは、「ユーザー不在のゲーム作り」そのものですね。この質問と、このレスが、多くのゲーム制作者への戒めとなってくれれば幸いです。

□ コンティニューするときにボタン押しながらスターとボタン押さなきゃならないけどこういった方法にしたのは何かわけがあるのでしょうか?
★S コンティニューという仕様自体が、表向きのTODのゲーム性には馴染まないので、完全に裏設定として組んであったからです。また、コンティニューを時間制限にするのでは、万が一の時(コンティニューしたいのにコインがないとか)に困ると思ったので(藁
◇ ちなみにコンティニューという仕様を一般的にしたのも、このゲームが最初だったと思います(コンティニュー自体はディグダグとかが最初だったような?)。

□ スタート地点で宝箱がでて、スタート地点は前のフロアの扉の位置。
★B これが正解。
 ちなみに、いろんなモノの出現する場所は、どうやら斜めの線上に並んでいるらしい。そんなふうに作ったわけではないんだけど。
◇ 1階のスライムの配置を見ると「斜めの線上に並んでいる」ことがわかりますね。
 ちなみに、FC版の1階スタート地点は、最下段の中央に固定されていたような記憶があります。「塔の正門を開けて正面から乗り込んできたみたい」と、小学生だった当時、妄想してたりしましたので。

□ スライムの体あたりは盾でふせげるぞ!
★E 知らなかった(^_^;)。バグかも…(藁
◇ いわゆる「剣を出しながら立ち止まっているときは、特定方向から体当たりするスライムを倒せる」というテクニックのことでしょうか?
 ちなみにその法則は以下の通り。

ギルの向きスライムが体当たりしてくる方向結果
倒せる
倒せない
倒せない
倒せる

□ ところでこのゲームのバグっていくつくらいあるのかな?
★S ゲームにバグがいくつあるか、これほど不毛な問はありません。
 どんなに良く出来たゲームでも、無限のバグを発生する潜在力を秘めているのですから。惜しむらくは、それが発見される前に、プレイヤーの情熱が失せてしまうことですね。
 そんなあなたには、この名言を!
 「ソフトウェアにおける想定しない動作のうち、発売前に見つかったものをバグ、後に見つかったものをフィーチャーと呼ぶ」お後がよろしいようで。
◇ ちなみに「新明解ナム語辞典」によると、ナムコでは「開発中に見つかったバグのうち、ゲーム進行に支障がないものは3つまで仕様と呼んでいい」というルールがあるそうです。

□ 読者質問「ソーサラーの炎を、剣で消せるのはバグですか?」
  遠藤氏「なんでもバグバグ言うのは失礼です。」
★S これね。はは。
 ちょっとプログラムの素養があればわかるんだけど、バグというのは想定されない効果が想定されない状況で起こる不都合なのであって、この場合はどう見てもフィーチャーじゃないですか。しかもプレイヤーに有利な。
 2ch風に言うならば、「バグと仕様の区別もつかないようなドキュソ厨房逝ってよし」な心境ですよ。ところで、怖いやつというのは、このスレで払拭されたでしょうか?
◇ 雑誌に掲載されていた質問コーナー(?)での応答だそうです。

□ FC版ドルアーガは遠藤さんの作品だったのですか。GB版ドルアーガは遠藤さんの作品ですか?
★A いずれも違います。というか、制作に参加していません、というスタンスですね。あくまで遠藤個人の作品ではないので、その辺を曲解しないでください。たくさんのスタッフを代表しているだけなのです。

□ 色関係はもうめちゃくちゃだったでしょう?ポーションとかも。ファミコン版だけだっけ?
★D ファミコンは色数が少なくて、忠実な移植は不可能。あの当たりが綺麗な着地点だろうと思う。
 ちなみにボクはノータッチでした。

□ ジェットブーツを装備したスピードってファミコンとゲーセンを比較すると違くない?
★C 画面の大きさが違うので、相対的にそう感じるのではないでしょうか。

□ (↑の遠藤氏のコメントを受けて)いろんな物のスピードがことごとく違います。
★B そうなのかぁ、知らなかったです。

□ FC版の攻略本は、ゲーム関連本としては初めて日販・東販の週間(月間かも)出荷一位にランキングされて、当時の出版業界ではかなり話題になったらしい。
★B 業界で、もっと話題になったのは、FCのカセットが売れた数より、攻略本の方が部数が出てたらしいことですね。すでにエミュ全盛?んなことぁねぇよ。これが「攻略本は売れる」という幻想を生んだのですね。

□ (アーケード版と移植作であまり差が出ないのは)ドルアーガのゲーム性自体がゼビと比べて単純だったからでは?
★A 多分、処理時間の問題もあると思います。ゼビウスはCPUのパワーをクロック単位で節約しながら使い切るよう努力ましたが、ドルアーガはCPUへの負担が軽いゲームだったので、オリジナルの基板以下のパフォーマンスのターゲットでも、十分にゲーム性を追及できたんでしょう。

□ 遠藤氏自身は、(『ドルアーガの塔』を)「絶対の自信作」と言い切られてる。その自信の根拠は一体何だったのか? その根拠は今振り返っても、揺らがないものなのか?
★S TODの当初目的を考えてみてください。稼働率の下がってきたマッピー基板を利用するという点で、インカムもそこそこだったのですが、見事に効果を上げることができました。短時間で効率の良いゲーム制作を行うには、あらゆるシーンで迅速かつ的確なジャッジメントが必要なわけで、これはゲーム制作に留まることではありません。
 そんな部分で、TODは悩むことなく(宝箱の出し方は別)、思った通りの形に作り切ることができました。以降も自分の自信作は、この原則にのっとっています。

□ 今のヌルゲーマーにやらせたら「クソゲー」の一言で終わるゲームシステムだと思います。
★ 激しく同感です。レトロゲームでよかった(藁