●ゲームブック・小説編

悪魔に魅せられし者
■鈴木直人・著/虎井安夫・画 ■東京創元社(創元推理文庫) ■500円
魔宮の勇者たち
■鈴木直人・著/虎井安夫・画 ■東京創元社(創元推理文庫) ■550円
魔界の滅亡
■鈴木直人・著/虎井安夫・画 ■東京創元社(創元推理文庫) ■700円
悪魔に魅せられし者―ドルアーガの塔1―
■鈴木直人・著/虎井安夫・画 ■創土社 ■1,200円(税抜)
魔宮の勇者たち―ドルアーガの塔2―
■鈴木直人・著/虎井安夫・画 ■創土社 ■1,200円(税抜)
 『ドルアーガの塔』を舞台に、主人公ギルガメスと仲間たちが塔の最上階を目指すゲームブック。舞台は「悪魔に〜」が1〜20階、「魔宮の〜」が21〜40階、「魔界の〜」が41〜60階となっている。

 当時は創元推理文庫からナムコのゲームを題材にしたゲームブックのシリーズが存在し、『ゼビウス』や『ドラゴンバスター』、のちには『ワルキューレの冒険』などが発売された。
 いずれも基本的にはゲームの世界観をモチーフにした独自のストーリーが展開されており、『ゼビウス』はソルバルウに乗る場面すらなく、『ワルキューレの冒険』にいたっては、主人公は「ワルキューレのあとを追う少年」という設定で、全3巻のうち1巻にはワルキューレは出てこないのである。

 この『ドルアーガの塔』三部作は、著者・鈴木直人のデビュー作で、巻を追うごとにより複雑な仕掛けが待ち受けている、という作りになっている。残念ながら管理人はまだエンディングまでたどり着けていないのだが、ゲームにはまったく登場しないキャラクターが何人も登場し、独自のストーリーを展開している。なかでも“ヘビメタ魔法使い”メスロンは、美形キャラということもあってか人気が高く、また著者の鈴木氏やイラストの虎井氏もお気に入りのようで、のちにメスロンを主人公にした『パンタクル』というゲームブックも登場した(虎井氏のサイトにメスロンのイラスト多数アリ!)。
 また、このゲームブック中のギルガメスの描写が素晴らしく、ゲームというくくりを取り除いて忠実にノベライズしてほしいくらいだ(とくに、ギルガメスが必死にギャグを連発する場面は、カッコいいイメージが崩壊しつつも笑える)。

 作者の鈴木直人氏は、この三部作がデビュー作品。しかし、とても処女作とは思えぬほどの描写や内容の濃さ、ギミックの多彩さなどが、ゲームブック・ファンの厚い支持を得ている。この後、鈴木氏は『スーパーブラックオニキス』などを著したものの、現在は消息不明となっているらしい。
 本のタイトルや著者名で検索すれば、相当な数のサイトが引っかかるだろう。管理人はほとんどプレイが進んでいないので、ゲームブックとしての評価はそちらにお任せする。

 なお、この3作は創土社より復刊が決定しており、2006年12月29日には「悪魔に魅せられし者」が、2008年4月4日には「魔宮の勇者たち」が、それぞれ復刊された。

表紙サムネイル 表紙サムネイル 表紙サムネイル
↑『悪魔に魅せられし者』表紙 ↑『魔宮の勇者たち』表紙 ↑『魔界の滅亡』表紙
カイの冒険
■健部伸明、山下武師・著 ■東京創元社(創元推理文庫) ■650円
Now Constructing...
(とりあえず表紙画像のみアップ)
表紙サムネイル
ドルアーガの塔 外伝
■北殿光徳・著/スタジオハード・編 ■勁文社 ■550円
 甲冑全体がツヤツヤと光輝いているギルの表紙が目をひく、ケイブンシャのゲームブック。

 外伝と名のつくとおり、舞台はあくまでも『ドルアーガの塔』のなかではなく、主人公であるギルの双子の弟“ノヴァ”が、見た目もカイにそっくりな囚われの巫女“ミーシャ”を救うことで、ギルの手助けをする、というオリジナルのストーリーだ(ただし遠藤氏をはじめとするオリジナルのスタッフが関わっているわけではない)。
 内容は、基本的にゲームに忠実に書かれているものの、6階建てと短い(この短さを「外伝」という扱いでフォローしているようだ)。ゲームブックとしては、やはり低年齢層向けということで、かなり単純化されている。また、なかで使われているイラストは、線画ながらオフィシャル・イラストの画風にかなり近いのが見どころ。

 ただ、この本最大の特徴は、解いたあとに見られる「その後のノヴァの活躍」で、背中に6階建ての塔が乗った恐竜“ドルアガドン”、頭が6階建ての塔になっている巨大な騎士“ドルアガナイト”で冒険する……という、よくわからない展開。
 あとで友人に聞いたところ、「そういう設定で、もう一度この本をやれってことでしょ?」と言われ、なるほどと納得。
小説 ドルアーガの塔 〜YOU ZAP TO...〜
■井上尚美・著 ■双葉社 ■1,000円
表紙サムネイル 「少年魔術士インディ」などで知られる作家・井上尚美氏が執筆した小説。一時期、創元推理文庫のナムコのゲームブックを担当し、ゲームブック『ドラゴンバスター』を著した古川尚美氏とは、名前が同じだが別人である。

 内容は重めで、未熟ながらも弱みを見せまいとするギルを中心に、謎の盲目の双子ガイドなど、独自のキャラクターがつぎつぎ登場する(なにせ塔には13人で乗りこんだのだ!)。
 とりわけ『ザ ブルークリスタルロッド』ではギルの親友として描かれたバビリムびとのサルゴンが、この作品のなかではスーマールびとで、ギルたちに協力しながらもシビアな意見を吐く人物として描かれている点が興味深い。

 一応、体裁上は60階それぞれの行動を書いてあるのだが、記述が1ページにも満たない階もあり、そのへんやや中だるみする感はある。ただ、ギルとカイにだけ目を向けられがちな『ドルアーガの塔』を材に取った作品のなかで、これだけ塔そのものの恐怖を全面に出したものはまずない。
 そういう意味で、この小説は異質と言えるだろう。
偽りの月 ザ・ナイトメア・オブ・ドルアーガ 不思議のダンジョン
■手塚一郎・著/かじかかな・画 ■エンターブレイン(ファミ通文庫) ■672円
 同作のシナリオを手がけた手塚一郎によりノベライズされた小説。
 まだ読んでる最中なので、Now Constructing...